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時流超流

ねじ革命、意外な大発明?

ブラザー工業が中国工場で量産品に採用へ

ネジを変えるだけで、不良品を減らし、作業効率を上げる−。産業用電動ドライバー最大手の
ハイオス(千葉県松戸市、戸津勝行社長、『小さなトップ企業』掲載)が開発し『トツプラネジ』が、
まもなく本格採用にこぎ着ける。採用第1号を見込むのは、ブラザー工業の主力製造拠点である
シンセン工場。
現在、日本の工業で効果測定をしているところで、8月末に中国に持ち込んで量産試作に入る。
問題がなければ9月から製品に使用して、新製品の投入とともに採用モデルを増やしていく計画だ。
接触面積2倍で不良少なく
これが、様々な効果の出発点になる。まず、力がしっかり伝わるので締め付け不良が減る。 実験では、同じ条件で業しても締め付け力のばらつきはプラスネジに比べて約2分の1になった。 この効果を織り込めば、ドライバーの回転力を弱めて作業者の負担を減らしたり、ドライバーそのものを小型化したりできる。特に若い女性の非熟練工が多い。中国の工場では不良品の削減や、動作が 機敏に なることによる生産性の向上が見込める。 また、ネジをビットに乗せただけでもビットが深く入り込むため、ネジが外れにくい。 プラスネジに比べて約2倍の横方向の力に耐えられるという。
例えば、横向きのネジ締め作業も工程内に取り込みやすく、生産ラインの設計で自由度が増すわけだ。従来のプラスネジとの互換性も確保した。
締め付け時にドライバーが空回りしてネジ山をつぶしてしまったプラスネジも、先端が横に張り出したトツプラビットならば、うまくかみ合うという 副次的な効果もある。これは、修理やメンテナンス作業の効率アップにもつながりそうだ。 ハイオスの戸津社長は『街の発明家』を辞任するアイデアマン。200件以上の特許を持つ戸津社長はトツプラも自ら考案した。 『目線は低く』がモットーで、誰もが何気なく日常的に利用しているネジに注目し、ユニークなアイデアを生み出した。 主力である産業用電動ドライバーの市場は約70億だが、ネジまで含めれば対象市場は約20倍に広がり、ハイオス自身も事業拡大を目論む。
これまで電動工具のマキタやシャープ、ソニーが日本の工場で試験的に一部採用したことはあった。『世界の工場』中国にある量産工場で、全量切り替えを視野に入れて採用されるのは初めてのことだ。トツプラネジは従来の プラス(+)ネジと外見上の違いはほとんどない。しかしネジを締め付けるドライバーの先(ビット)が 異なる。一般にプラスネジのビットは円錐形をしているが、トツプラのビットは先端が横に張り出すようになっていて見た目は筒型に近い。それに合わせネジの 溝も深く切ってある(右下写真参照)まさにコロンブスの卵。
ちょっとした工夫だが、締め付けるときに 力を伝えるネジとビットの接触面積が約2倍になる。
 
コスト1割増を補う効果

ハイオスの『ネジ革命』は前例がある。35年前、マイナス(−)
ネジに同様の発想で改良を加えた『トツネジ』である。
ネジ締めの際、ビットが横滑りしにくくなる点が評価され、セイコー、ソニー、任天堂など多くの大手メーカーが採用。
ハイオスの創業期の原動力となった。その後、プラスネジが主流になることでその役割をほぼ終えたが、プラスネジの弱点も見逃す、再度の革命に挑む。
『ネジのしめつけ不良は古くて新しい問題。人手に頼る以上、実はなかなか撲減できない』と日経製造業関係者は言う。
トツプラは従来のプラスネジに比べてコストが約1割高くなるが、ブラザーはそれを補って余りある効果を見いだしたわけだ。ネジ締めの課題はメーカー共通。
さて、ネジ革命は製造業に旋風を起こすのか。

                   

(香港支局 谷口徹也)

 
 
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